論文サーベイを自動化して、研究の創造性を取り戻す

論文を読むのが苦手だった農学×機械学習の研究者が、Zotero・Obsidian・Codexをつないで、サーベイから執筆までを一つの流れにした記録。引用整理が片手間になり、研究の進め方そのものが変わった話です。

積み上がった論文の山から、必要な一枚を手で抜き出す線画

いきなりですが、白状します。わたし、論文を読むのがめちゃくちゃ苦手なんです。

一本読むのに丸一日かかることもザラ。しかも、それだけ時間をかけたのに「で、結局どういう論文だった?」と聞かれると、うまく答えられない……。研究をやってる人なら、この「読んでも頭に入らない」つらさ、わかってくれますよね。ここがずっと、わたしの重荷でした。

ちなみに専門は農学×機械学習。畑から集めたいろんなデータを、いまのAIでどこまで活かせるか、そもそもデータの質をどう上げるか——そんなことを研究しています。

この記事では、その「読む・まとめる・書く」のしんどさを、ツールを組み合わせてどう軽くしていったかを話します。マネできるように、実際の流れも、わたしが「ここは自分で決める」と握っていたポイントも、ぜんぶ見せますね。

いちばんしんどいのは「どれを読むか選ぶこと」

論文探しは Google Scholar と arXiv。でも本当にきつかったのは、読む以前の「どれを読むべきか選ぶ」ところでした。

とっかかりがつかめないまま検索しまくって、やっと見つけた一本に時間をかけて挑む。なのに、求めてた内容と違って大はずれ……。これの繰り返しです。一日の終わりに残るのは「読んだ」という事実だけ。研究そのものは一ミリも進んでない。そんな日が、何度もありました。たぶん、これを読んでいる君にも覚えがあるはず。

Zotero だけの頃:たまるのに、使えない

最初に使ってたのは Zotero だけ。せめて読んだ文献が散らからないように、ひたすら記録を積み上げていました。

でもね、保存した論文が増えても、それで研究が進むわけじゃないんです。文献は「使える知識」じゃなくて、ただしまってあるだけの情報になっていく。本棚はパンパンなのに、中身は引き出せない。あの感覚、地味にしんどいんですよね。

転機がきた——CodexとObsidian

流れがガラッと変わったのが、CodexObsidian に出会ってから。ここからちょっとワクワクする話になります。

バラバラだった「集める・まとめる・書く」が、ぜんぶ一か所につながったんです。わたしが組んだのは、こんな流れ。

  1. 見つけた論文を Zotero に保存する
  2. 文献情報を BibTeX として出力する
  3. その BibTeX を Obsidian と接続する
  4. Codex に論文を要約させる
  5. 引用できる内容や、研究に活かせるアイデアを整理する
  6. Obsidian 上で論文の草稿を書く
  7. Pandoc で引用表記と参考文献一覧を自動生成する

ミソは、これがぜんぶバラバラの作業じゃなくて、一本の線でつながってるところ。

Obsidian の文章の中で BibTeX の文献情報を呼び出せる形([@citekey] みたいな書き方)にしておくと、Pandoc が、指定した論文スタイルに合わせて引用と参考文献リストへ自動変換してくれるんです。論文本体まで Obsidian で書けるから、サーベイから執筆までが一つの環境でつながった、というわけ。これ、最初にハマったときちょっと感動しました。

出典は Zotero が「土台」。だからAIに丸投げしない

もう一つ大事なのが、出典の情報は Zotero に持たせてること。ここ、テストに出ます(笑)。

AIに「関連論文あげて」って一から作らせると、それっぽいけど実在しない文献が混ざることがあるんですよね。いわゆるハルシネーション。でもこの仕組みは、実在する Zotero のデータが土台にあるから、AIに出典をでっち上げさせる必要がない。

もちろん元の情報の確認はします。でも、自分が頭を使う範囲を「どこを引用するか」「どんな文体で書くか」「研究としてどう主張するか」にギュッと絞れるようになった。これがめちゃくちゃ大きかった。こまごました確認じゃなくて、研究のおいしいところに脳みそを使えるんです。

「ただの山」が「使える宝」に変わった瞬間

この仕組みのありがたみを本気で実感したのは、興味のままに集めてきた論文が、ただの山じゃなくて「使える形」に化けたときでした。

昔ためこんだ文献について、「これ何が引用できる?」「どのアイデアが自分の研究に効く?」を Codex がサッと整理してくれる。眠ってた本棚が、急に「引き出せる知識」に変わる感覚。これはちょっとテンション上がりますよ。

しかも、いちばん面倒だった引用表記と参考文献リストの整理が、ほぼ一瞬で終わる。これまで独立した重労働だったやつが、他の作業のついでに片手間でこなせる。地味だけど、ここがいちばん効きました。

体感:一本に丸一日 → 30分で十数本

体感だと、30分くらいで十数本の論文を取り込んで、出典までハッキリさせた草稿を作れるようになりました。

前は一本に丸一日かけてたわけで……。これはもう「作業が速くなった」というより、研究の進め方そのものが変わったって感じです。

正直に言うと、仕組み作りはラクじゃない

いいことばっかり書いてきましたが、正直、この仕組みを作るのは簡単じゃないです。なんせ Zotero・Obsidian・Codex の三つを横断して連携させる必要があるので。

でもね、この「最初の難しさ」こそ、ブログで具体的に書く価値があるところだと思ってます。つまずきやすい接続部分は、別の記事で手順を分けて、ていねいに残していきますね。

なんで、これが効くんだろう?

研究って、引用ルールとか参考文献の形式とか、ガチガチで融通のきかない決まりごとがやたら多いですよね。

しかも、その面倒くささに耐えられることが、まるで研究者の才能であるかのように感じちゃう瞬間すらある。そのせいで、本当はいちばん楽しいはずの「考える・つくる」にたどり着く前に、力尽きちゃう人もいると思うんです。

でも、よく考えてみてください。その「ガチガチさ」って、裏を返せばAIやツールがいちばん得意なところなんですよ。ルールがハッキリしてるからこそ、仕組みにして自動化できる

面倒な形式作業をツールに任せちゃえば、わたしたちは問いを考えたり、知識をつないだり、新しいアイデアをひねり出すことに集中できる。これって、一部の才能ある人だけじゃなくて、もっとたくさんの人に「研究って楽しい!」を開いてくれるはずなんです。

AIは、研究者の代わりに研究してくれる便利屋さん、ってだけじゃない。ガチガチな決まりごとと、人間が本当にやりたい創造的なことの“あいだ”をつないで、研究の楽しさを取り戻させてくれる存在。わたしはそう思っています。

おわりに

集めるだけで終わってた文献が、ちゃんと「書くこと」につながる。引用整理に溶けてた時間が、「考える時間」に戻ってくる。

具体的なつなぎ方は、続編のZotero・Obsidian・Codex をつないで、サーベイから執筆までを一つにするで、手順に分けてガッツリ書いています。実際に組んでみたい人は、こちらもどうぞ。

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